6月の憂鬱
梅雨の6月、蒸し暑くなる季節でもあり何だか気分が晴れない日が多いですよね。
私はこの時期になると思いだします、憂鬱な思い出です。
私はある金融関連の企業に長年勤務していました。私が入社した後に東京証券取引所の一部に上場し、すごい勢いで株価も上がっていきました。
当時私は人事・総務部門に在籍し、主には人事部門を担当していましたが、6月近くになると別の業務も発生します。株式会社の最高意思決定機関である株主総会に関する業務です。
株式会社は株主を構成員としており、株主総会はその株式会社の基本的な方針や重要な事項を決定する機関と位置付けられています。
私の担当は株主総会のリハーサル時の司会と、総会当日に社外役員の方に当日の流れを説明したり、会場まで案内をすると役割を担いました。
役員のピリピリ
リハーサルが近づくと、役員がピリピリしているのが分かります。役員室のドアは閉められ、おそらくは室内でロープレをされているんだと思いますが、出てきた時の顔が険しかったのを覚えています。
リハーサル当日は、数名いる顧問弁護士にも同席してもらいます。リハーサル前は談笑もありますが、それも始まる前には少なくなっていき、リハーサルが始まります。
質疑応答まで進むと、その顧問弁護士から役員に対して質問をします、何問も・・・・・・
一応、質疑応答集はあるのでそれに沿って答えるのですが、応答集に載っていない質問もするんですね、弁護士先生は。
一気に、室内の緊張感が高まります。役員の顔を見ると、焦りと怒りの感情が滲み出てきているのが分かります。
そんなことを何度か繰り返し、リハーサルは終わりますが、この何度か繰り返すのをアナウンスするのも私の役目でした。もともとシナリオはありますので、最初は通しで行い、その後はシナリオの途中からリハをするという流れでした。
このタイミングが悪いと、まずは役員から目で刺されます。ブスッ、ブスッっと、目で刺されますので、その視線から逃れようと私はシナリオに目を落とすしかありませんでした。
私が在籍した頃はリハーサルを2日間行っていましたが、リハーサルが終わるとグッタリと疲労感しか残りませんでした。
株主総会当日
当日はいつもより早く家を出ていました。早めに会場に行き、諸々の準備をしなくてはいけないため、朝から気が張っていました。
社外役員が来られた際のお迎えやご案内は同じ部署の同僚が対応してくれるので、私は待機室で皆さんをお待ちして、当日の流れをお伝えしました。
某庁の長官経験者や〇〇銀行の副頭取を経験された方など多彩な顔ぶれの社外役員で、「若い時はおっかなかったんだろうな~」とも思いますが、今ではお年を召し柔和な表情で私の説明を聞いていただいたのを覚えています。
10時開始の総会に合わせ、5分前には待機室を出て会場入り口までご案内します。通路が若干入り組んでおり、何度も導線確認をしていますが、やはり緊張しました。2分前には会場のドアを開け、役員の方を会場内へ入っていただきます。ドアを閉めて、私の業務はいったん終わりです。
その後、株主からの幾つかの質問を受けて総会が終わるのがおおよそ1時間半後になります。私は予約していた昼食会場へと足を運び、役員の方々が昼食会場へ入られたのを確認し、外で1時間以上待つことになります。
13時ごろになると昼食会もお開きになり、社外役員の方々をハイヤーにご案内し、これで晴れて業務終了となります。
達成感より疲労感
今では思います。
とても貴重な経験をさせていただけたな、と。
でも当時は早くこの環境から逃れたいと思っていました。株主総会が終わっても、達成感は無くむしろ疲労感しか残りませんでした。実際に総会に出られるのは役員の方々なので当然なのですが、裏方の苦労は計り知れません。
それでも、もっと楽しんで業務にあたれば良かったなと思います。
おそらく、皆さんの中でも他の職員とは異なる業務をしなくてはいけない方も多いと思います。
「何で自分だけ・・・・・他のやつはいいな・・・」
私はそう思っていましたが、それって冷静に考えてみれば特権なんですよね。
きっと仕事を任されるのって、見どころがあるからなんだと思います。いい加減な人には、どうでもいい仕事、ルーティンワークしか与えられないでしょうから。
そして他の職員と異なる業務ほど、成長する種が詰まっているのかもしれません。
会社員を辞め、起業した今だからこそ、そう強く思います。
何でもそうですが、前向きに捉えて行うのと、後ろ向きに捉えるのとでは後々になって差が出るんだろうなと思います。そしてきっとそれは、その人の成長にも影響してくるんですよね。
今回は株主総会という話題でしたが、この話が何かの参考になれば幸いです。
それではっ。
25年の会社員生活を送り、独立した筆者が送る、会社員の道しるべ。
自身も会社員として様々な悩みを経験してきたからこその、説得力ある?指南書です。
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