敷居の低くなった転職
昭和~平成の初めごろまでは、入社したらその会社で勤め上げることが美徳とされていたようです。
実際、日本的経営の特徴といわれる
- 終身雇用
- 年功序列
- 企業内労働組合
によって、長く勤務すればするほど、賃金もアップするし役職も付いてくるという形態が日本企業の特徴でした。
それが今では大卒の新入社員の3人に1人は3年以内に退職をするような状況で、以前とは大きく異なっています。
おそらく、ネット環境が整備されてきたことにより、転職情報を収集しやすくなるのと同時に、リクナビネクスト等の転職サイトの出現により、現在勤務している企業と転職市場にある企業とを比較することが容易になってきているのも一因としてあるのでしょう。
「転職をする」ということにネガティブな感情を持つ方も少なくなり、転職自体は敷居が低くなってきているのは間違いないです。
即戦力を求めている
私は新卒後に入社した金融機関を4年勤め、転職をしました。その後も数回転職をしましたが、最初の転職時に感じたことがあります。それは、
企業は即戦力を求めている
ということです。
新卒で入社した企業では、研修なども手厚く実施します。
- 会社の歴史
- ビジネスマナー
- 日経新聞の読み方
- 簿記について
- 社会人としての心構え
- 業務内容について
私が人事部門を担当した企業では、上記の内容を1ヶ月ほどかけて新入社員に教え込んでいました。外部講師に依頼し、時間を掛けて研修していますので相当のコストを掛けているわけです。
一方、転職をした際にも研修はありましたが、1日ないしは2日程度でした。会社の歴史や業務内容などは入社しないと分からない面もありますが、その他の面は出来ているのが大前提として接します。
企業側からすれば、新卒を迎えるわけではなく社会人経験者迎えるわけですから、即戦力として使える人材が欲しいわけなんですよね。
新卒の頃は、廻りの先輩社員が手取り足取り教えてくれたりしますが、転職して入社してきた中途入社組にそんなことはしません。分からなければ自ら廻りの社員に質問をし、それがたとえ自分より職階が低かったり年齢が下だったりしても、疑問を解消していかなくてはその企業で生きていけないんです。
受け身ではなく積極性が求められる
今は多くの企業で中途採用を募集しています。リクナビを見ると中小企業だけではなく大手企業も通年と言っても良いくらい随時募集をしていますね。
私が面接官として中途採用を担当した際、面接時の印象と実際に働き始めた時の印象と大きく違うなという職員が何名かいました。
良い意味で違っていればウェルカムなのですが、悪い意味で印象が違うとなると、ちょっと困ってしまいます。
筆記テストの点数も良く、面接時にはハキハキと応え、志望動機もしっかりしていたのに、入社した途端に覇気も無くなり、積極性も無いどころか言われたことも出来ない職員がいました。
面接では自分を「創る」ことも出来ますが、「盛った自分」で面接を通ったとしても、入社してから苦労するのは自分自身だということをまざまざと見せつけられた気がします。
その職員は、廻りからの目も日に日にキツクなっていくのが感じられたのでしょう、結局は退職しました。
「面接で何を見ていたんだ」と言われればそれまでですが、面接を通じて得られることはほんの一部なんですね。100%の確率で、会社にぴったりの職員を採用するなど到底無理なんですが、この経験は私の中でもとても印象に残っています。
もし私が面接の際に、彼と会社のミスマッチを見抜いていれば、彼にも嫌な思いをさせずに済んだでしょうし、現場にも迷惑を掛けずに済みました。現場の支店長からは、ありがたい「ご指導の」言葉をいただいたのは言うまでもありません。
転職のススメ
あなたがもし、転職をしようか否か迷っているようであれば、是非一歩踏み出してみることをおススメします。
転職をしたい理由が前向きなものであれ後ろ向きなものであれ、一歩踏み出して転職活動をすれば、今まで見えてこなかった景色が見えるはず。転職サイトを眺めてみれば、魅力的な文言が書かれている企業を見つけることが出来るでしょうし、実際に話を聞きに行けば、現職の方が恵まれていると再発見するきっかけにもなるでしょう。
いずれにせよ、悩んでいるのであれば動いてみて、自分の価値がどれだけのモノか確かめてみるのも良いかもしれません。労働の対価として賃金を貰うのであれば、より高く評価をしてくれる企業の方が魅力的ですし、企業ごとに風土も異なるので、現職以上にビタッとはまる企業があるかもしれませんしね。
ただし、
- 必要以上に「盛らない」
- 即戦力として求められている
この2点を忘れずに転職活動をすることをおススメします。
それではっ。
25年の会社員生活を送り、独立した筆者が送る、会社員の道しるべ。
自身も会社員として様々な悩みを経験してきたからこその、説得力ある?指南書です。
あなたの悩みに、この1記事。